雪の日舎
スノーデイズカレッジ

1時限目「子どもと環境って?〇〇保育と当てはめない、私の保育観」講師:川延誉

2019.04.20

 

スノーデイズファームが始まって1年と半年。

私たちは、農家、建築士、管理栄養士、保育士、未来の社会福祉士、編集者とそれぞれが全く違う職能、バックボーンを持って集まっていることは、私たちを応援してくださっている皆さんは既にご存知のことと思います。

 

そんな私たちが1年半ともに走ってみると、やはり同じものごとでも視点が違っていたり、捉え方が違っていたり、新しい気づきを互いにもらっているなと感じることが多くありました。

また、スノーデイズファームと並行して、それぞれのメンバーが個人でも活動していたり、他の所属組織で作っているプロジェクトがあったりします。

 

個人的にメンバーの講座やプロジェクトに参加したりもしていたのですが、せっかくこうしてチームでもあるのだから、互いに学び合う場もあったらいいね!やろうやろう!と、今回実現しました。

 

「授業」というよりは大学のゼミのような、それぞれが話題提供をし、みんなでそのテーマを自分の暮らしや仕事と結びあわせて考える、というような双方向の学びができたらいいなと思っています。

 

記念すべき1時限目の講師は、冬季に参画している川延誉。

 

 

川延は、元幼稚園教諭で現在は農業の手伝いやハンコや羊毛フェルト作品を作るクリエイターでもあります。

 

今回は川延が幼稚園教諭時代に学び育んだ保育観を軸に、スノーデイズファームや十日町の可能性に至るお話まで、ときに真面目に、ブラックトークも交えながら、楽しくお話していただきました^^

 

 

川延は今まで4つの園で働いていた経験に加えて、勉強のために見学に行った園も数園。それぞれに独自の保育観があったと言います。

 

キリスト教保育

シュタイナー保育

フレーベル保育

無宗教園

……

さまざまな園で、保育の内容、そして保育者のあり方を見てきた川延だからこそ、子どもが子どもらしく育つ上でどんなことを大事にしていきたいのか自身の保育観について語ってくれました。

 

 

また、川延が大事にしてきたことや子どもとともに感じたいものが、十日町にはあるということ

スノーデイズファームは保育団体ではないけれど、子どもの育ちを支える可能性を秘めているということを

彼女の言葉で私たちに教えてくれました。

 

 

特に現在子育て真っ最中のメンバーは、かぶりつくように川延の講義を聞き、メモメモメモ!(笑)

 

 

とても充実した時間となりました。

 

 

ここでは講義後のみんなでのフィードバックの時間をおすそ分けしたいと思います!

 


保育園っているのか?

可奈子 誉さんありがとうございました。

シュタイナー教育では、保育者は子どもと遊ぶというよりは、手仕事をしている。というお話を聞いて、日常の手仕事のかたわらで見ていた子どもが自然とやりたいと思えることってやっぱりいいなと思いました。

でもそれって、春に畑で娘と過ごした日々そのものなんですよね。

 

幸治 そうだよね。う〜ん、そもそも保育園っているのかな?

 

川延 そこは難しいところですね〜。そう言ってしまえば、保育園っていらないですよね。でも保育園でしかできないことって、同年齢が集まる環境だと思うんですよ。そこで育つこともあるから……やっぱり必要なのかな。そう考えると結局一周まわってしまうんですけど。

でも一番大事なことは保育者の質かなと思います。

 

中島 確かに保育者もだけど、本当は親だってそういう視点が必要なんだよね。

 

川延 そうですね。でも、保育保育って言うけれど、子どもの育ちって保育だけじゃないんですよ。例えばスノーデイズファームでやってることって、保育でやってきたことと一緒なんです。そういうことを私はもっと伝えたいな。どうしたらスノーデイズファームが、もっと浸透していくのかな?って最近は考えてます。

 

中島 話変わるんだけど、こないださ倉庫に見たことないクモがいて。子どもが、なんだろうね〜っていじって遊んでて。気づいたら1時間くらいクモと遊んでたんだよね。家に帰ってからも名前とか調べたりして。ちなみに「イエユウレイグモ」っていう名前だったんだけど。ああ、そういうので子どもってこんなに遊べるんだ、調べたり学びになるんだって驚きだったね。

 

言葉に悩む、親たち・・・

可奈子 おお〜。それって観察力ですね〜。わたしなんてよく農業の師匠から「観察力が足りない」って指摘されていました。

幸治 誉さんの言っていたことも観察力が大事だよね。

川延 わたしも教諭時代「観察力」ってよく指導されたなぁ。

 

 

中島 でもそうやって葛藤している親、結構いると思うんだよね。

可奈子 確かにみきさんのこどもの食事に関する講座でも「声かけが大事」ってよく出てくるけど、声かけって難しいんですよね〜。「だめ」とか「急いで」とか言ってしまう。これは、永遠のテーマですね。

川延 わかります。NGワードとか意識しすぎると何も言えませんってなっちゃう。わたしも一回考えすぎて、動けなくなったことがあるんですよ。それで悩んでいたとき、当時の園長先生に「頭の隅に置いておけばいい」「まずは意識すること」と教えてもらいました。

 

 

遊びの量が、学びの力に

中島 もう一つ聞きたいんだけど、うちの上の子は今7歳で下の子が5歳なんだけど。小学校に上がるときに「これとこれはできるようにしておいてください」っていう案内が来るんだよね。でもうちはあまりにも自由すぎてやっていけるのかなぁと思って。

 

川延 わたしが勤めていた園では言われたことがなかったけど、「幼稚園は小学校のための準備」と捉えているような園も多く存在しています。英語や体育指導、ひらがなの勉強と先取りさせるようなカリキュラムを組む園も多くて。でも、小学校にあがってからは、ずっといくらでもそういった学びってできるんですよね。

 

誰でも次の段階に上がるときは、変わるじゃないですか?
例えば、知識をたくさん詰め込む園の子のほうが、小学校へ行ったときにギャップがないと見られることも多いんです。でも小学校の先生と話したときに、実際は遊んでたくさん実体験を積んでいる園から来た子の方が、生き生きやっていることも多いと聞きました。だから、用意しておいたから、充実した小学校生活が送れるとは限らないんですよね。

 

わたし個人としては、どれだけ遊んだかでその後の学びの力が全然違うと思っています。

それに小学校へのギャップだって親が心配するほどのものでもないですよ。

 

でも考え続けると分からなくなるんですよ。「否定しない」ことも大事だけれど、「だめなものはだめ」っていうこともあると思っていて。それを変に意識しすぎると、抽象的なことしか言えなくなっちゃう。

 

中島 うーん、それって結局どっちがいいの?

 

幸治 どっちがいいっていうよりも、本人が考えることが大事なんじゃない?それを醸成するのが大人の役割。本人自身が思考を止めないように育むことが大事なんじゃないかな。

俺たちの世代から、もうそうなんだけど、今の小中の問題もそれなんだよね。右向け右で育ってきちゃった。だから「それって考えたことなかったな〜」っていうことが割とあるんだよね。

本当に子どもの育ちに必要なことって、そういうことなのかもしれないね。

 

 

 

 

まだまだ喋り足りないメンバーたちでしたが、今回はこの辺で。

 

メンバーそれぞれの子育て、さらにスノーデイズファームの可能性についてもたくさんのヒントがある時間でした。

 

次回の講義もお楽しみに!

諸岡 江美子

諸岡 江美子

スノーデイズファーム(株)webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。