認めてもらいたいなら、自分たちから認めよう 妊婦編#12
2020.02.07
豪雪地・津南と豪雪地・妙高
どちらかを選ばなきゃいけないなんて、つまらない。
どちらも選びたいから、行ったり来たりする。
「二拠点居住」というライフスタイルへの憧れでもなく
ただただ、自分たちのしたい生き方を選びとってきた結果。
それが私たちの行ったり来たり婚です。
夫、初めての集落行事参戦!
里帰りも目前となった12月のはじめ。
集落での年内最後の作業と忘年会がありました。
私も毎年参加しているのですが、さすがに今回は妊娠9ヶ月ということもあり夫にバトンタッチ。
私は忘年会の冒頭だけ、里帰りの挨拶だけさせてもらい、忘年会も夫に出てもらいました。(私はお酒も飲めないので。泣)
夫が私の代わりに集落の作業やイベントに出るのは、実は今回が初めて。
(私と一緒にイベントに参加することはありましたが)
頼んだのはいいものの、ちょっとだけ心配しながら私は家で待っていました。
(夫も緊張したみたい。笑)
集落センターからポロポロと人が出てきたので、終わったかな〜と思ったら
「いま中締めしたよ。旦那はまだ頑張ってるよ〜。」
と近所のお父さんが教えてくれました(笑)
(頑張っている=お酒をたくさん飲んでいる、ということです)
結局最後の最後まで皆さんと飲んで帰ってきました(笑)
帰ってきた夫に、「どうだった?」と聞くと……
「まぁ、みなさん心配はしているよね。えみちゃんには言わないけど」
男性から女性に、子育てのことをあれこれ言うのは、やっぱり言いづらいですよね……。
それもあり、お酒が入っているのもあり?
私に言えないことも、夫には話してくれたみたいです。
そんな男性たちの話を夫から聞いたり、私も女性たちから聞いた話を並べていくと、とても面白いことがわかりました。
女性と男性、意見の違い(諸岡家調べ)
男性からは「子どもが小さいうちはなるべく夫婦一緒にいたほうがいい」と言われることが多いです。
でも女性からは心配はされつつも「実際なんとかなるよね。うちだって旦那いないようなもんだったし」だとか「旦那がいたって、子どもが2人になったようなもんだからね。何もやらないし、逆に手がかかる。」なんて意見も多いのです(苦笑)
で、これらの意見をいろいろ紐解いていくと、特に50、60代以上の方たちの時代は男は外で働く、女性は家で子育てするというのが当たり前で、一緒に住んでいようと男性が子育てに関わることが今よりはずっと少なかったのではないかと思うんです。
さらに、これは個々人の意識の問題というよりも、社会がそういう風潮だったんだろうと思うんです。
でも、いまは違いますよね。
男性でも育児休業を取るのは当たり前になりつつありますし、女性がフルタイムで働くことだって当たり前です。
そんな時代の変化を経て、いま自分の子どもたちが子育て現役世代になる60代前後のお父さんたちは、妻や子どもから「お父さん、仕事でいなかったもんね」なんて言葉をかけられているのかもしれません。
そういった教訓(?)があるからこそ、私たちに忠告してくれるのだと思うのです。
自分たちの意見とは反対のことを言われると、ムッと思ってしまいがちですが、こう考えると相手の言葉にもなんだか納得できますよね。
違いを認めて、一緒に生きていくのがコミュニティの基本
だからこそ、今回夫に参加してもらってよかったな〜と改めて思いました。
私たちはこの「行ったり来たり婚」そして「行ったり来たり子育て」のような、一般的には変わっていると見えるかもしれない生き方を、ふざけているわけではなく、それなりに信念を持ってやっています。
みんなに理解してもらおうとも思っていませんが、それでも地域や社会に対して、当たり前に考えている家族の形や子育て論について、自分たちをきっかけに改めて考えてほしいという気持ちも持っています。
私たちのやり方が全てではないけれど、一つのやり方として認めてほしいのです。
でもそのためには、やっぱり私たちも周りのことを認めなくてはいけないと思っています。
だからこそ、こうやって地域の行事には参加し、みなさんの率直な意見をまずは受けとめたいんです。
「行ったり来たり婚」のような新しい形を認めてもらうには、私たちも、昔の家族のあり方や仕事の特徴、時代背景もしっかり受けとめて認めていかなければならない。
相手に認めてもらいたいなら、自分から相手を認めなきゃ。
これってコミュニケーションの基本だと思うんです。
それでも意見が違うのは、人はみんな違う人格を持っているから仕方ありません。
でも受け入れられなくても、認めることはできます。
「私はそうは思わないけど、あなたはそう思うんだね」
ということ、違いを認めて、一緒に生きていくことはできます。
夫婦もそうですよね。
ありがたいことに、私たちはそれぞれの地域の方たちにきっとそんなふうに仲間に入れてもらっている気がします。
「よくわからないし、最近はいろんな形があるらしいからね。まあ頑張って。何かあれば言ってね。」
そんなふうに認めてもらっているのかなと。
だからこそ、私たちも、みなさんのそれぞれの意見や生き方に違いがあっても(あるのが当たり前ですけど)、その背景を想像することや、認めることを大切にしていきたいです。
「元気な赤ちゃんと帰ってくるの、楽しみにしてるよ」
そう笑顔で送り出してくださった地域の皆さまに、本当に感謝です!
春にまた会えることを楽しみに、がんばって産んできます!
■行ったり来たり婚の津南拠点「Classic Lab 柳の家」
家主が出産・育児のため、2019年12月〜休業中。Classic Labのブログは随時更新しています。
■行ったり来たり婚の妙高拠点「こつぼねの家」
諸岡 江美子
スノーデイズファーム(株)webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。