両親は心配していない?一緒にいないことで広がるコミュニティ
2018.07.20
豪雪地・津南と豪雪地・妙高
どちらかを選ばなきゃいけないなんて、つまらない。
どちらも選びたいから、行ったり来たりする。
「二拠点居住」というライフスタイルへの憧れでもなく
ただただ、自分たちのしたい生き方を選びとってきた結果。
それが私たちの行ったり来たり婚です。
少し前のことですが、春にわたしの両親が新潟にやって来ました。
以前も何度か来ているのですが、
今回は定年を迎え、時間に余裕ができたので
2週間ほどがっつりと休みを取って来てくれました。
また、結婚してからは、初めての来訪。
せっかくなので滞在期間中に妙高にも2泊3日行って来ました。
妙高では、夫がお世話になっている酒蔵を見学させてもらったり、
昨年からお借りしている田んぼに散歩に行ったりと
夫のアテンドでディープな妙高を体験。
津南では、山菜を採りに山へ入ったり、集落の春祭りや近所のBBQに参加させてもらったり、地域の人たちの仲間にも混ぜてもらいました。
「別々にいるからできない」ではなく、「別々にいるからできること」
「二人が妙高と津南にいなかったら、まず来ることがなかったよ。」
そう言って、両親は滞在を楽しんでくれていたことが、
とても嬉しかったです。
移住したての頃、そして行ったり来たり婚をしてからも
よくこんな質問をされました。
「両親は心配してない?」
確かに心配しているかもしれません。
でもそれ以上に楽しみにもしてくれています。
例えば、両親は私たちがいなくても
糸魚川まで足を伸ばしてカニを食べに言ったり(笑)
弥彦神社までお参りに行ったり(笑)
私たちも関心するほど、新潟を存分に楽しんでいました。
また新潟県だけにとどまらず、戸隠神社や野沢温泉にも行き、
終いには
「家族旅行は野沢温泉にしようか。そうしたら妙高にも津南にも遊びに行けるしね。」
と言い出しました。
私たちとしては、好き勝手に生きているので、家族にはどこか申し訳ないなという気持ちもあるのですが、
そういうふうに、楽しみを見つけてくれる両親で本当に良かったなと思います。
一緒にいないからこそ、関わる人が増える
私たちは別々に拠点を持っているからこそ、どちらにも関わってくれる人たちがいます。
今回の両親のように、関東や関西から遊びに来てくれる友人たちも津南に来れば、妙高にも寄ってくれます。
また津南の人が妙高に、
妙高の人が津南に、
興味を持ってくれるようになりました。
津南と妙高は車で1時間ちょっと。
「意外と近いんだね」
と言われることがあります。
「意外と近いけど、妙高と津南を行き来するような人がいなかったから遠いって勝手に決めつけていたのかも」
ある人がそう言っていました。
なるほど。
それは一理あるかもしれないですね。
そう考えると、私たちが一緒にいないことで、
いままで行き来のなかったところに
新しい人の流れを作れるのかもしれません。
「行ったり来たり婚」とわざわざ打ち出したことで
わたしたちに関わってくれる人が増える。
「わざわざ別々に住むくらい、魅力的な二つの地域に行ってみたい」
そう思ってもらえるようになれれば、うれしいなと感じた春の日でした。
■行ったり来たり婚の津南町拠点Classic Lab
-雪国をフィールドに「あるものいかす」を研究する-
諸岡 江美子
スノーデイズファーム(株)webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。