雪の日舎
今日の置き手紙〜雪の日舎訪問記

「雪の日舎を訪ねて〜小さな背中に大きな勇気をもらった日のこと〜」 from 大学生・松木太

2018.07.13

 

日本のかたすみの、雪深い山のなかにある雪の日舎。

そんなわたしたちのはぐくみのフィールドに

立ち寄ってくれる方がいます。

 

このコラムでは、雪の日舎を訪れてくれた皆さんからの置き手紙をご紹介します。

 

1通目は、大学生の松木太さんからの置き手紙です。

 

 

 


 

 

 

初めまして。

東京農業大学に通っている大学生、松木太といいます。

もう1ヶ月近く過ぎてしまったのですが、先日、雪の日舎さんにお邪魔させていただきました。

 

雪の日舎さんの想いがものすごく素敵で、見に行かずにはいられなかったのです。

雪の日舎を知ってホームページを見たのは、ちょうど一年前の今頃でした。

 

 

「はぐくみのそばに、里山じかんを」

〜安心の中で自分をはぐくみ、くらしをはぐくみ、そして愛おしい誰かをはぐくむことができるじかん〜(HPより:https://snowdays.jp/co/about/)

 

 

この世界観が本当に暖かくって、心地よくて。

「これ!いい!」

そう言って、そのページを印刷して友達に見せたのを覚えています。

(佐藤さんにはそんなエピソードは伝えてませんが。笑)

 

実は、自分も中山間地域で、「農業」「食」をキーワードに仕事をしたいと思っています。

 

その原体験になっているのは、

大分で山暮らしをしている僕の祖父母の家です。

 

 

薪を割ってお風呂を沸かしたり、

家の前を流れる川で魚つりをしたり、

丸太を切って椎茸の菌打ちをしたり、

じいちゃんの大工仕事や農作業を手伝ったり。

池谷集落の風景

雪の日舎さんのような山あいの集落で、

自分たちの「暮らし」を自分たちの手で作るじいちゃんの生活が、

今なお、自分の中の原点として残っています。

 

 

 

だから

自分の子ども、次の世代の子どもたちにも、

同じように「暮らしの豊かさ」を伝えられる存在でありたい。

 

 

日々変化する自然を相手に暮らしを作る。

これはそう簡単なことではなくて、、。

 

マニュアルなんてありません。

怪我をしない。

仕組みを考える。

うまく機能するように工夫する。

 

常に考えながら、日々を暮らしていく。

田舎で生活する人や、自然を相手に仕事をしている人たちは、

そんな生きる力、知恵を持ち合わせていると思います。

 

子どもたちに田舎で農業をしてほしい、ということではありません。

自然から、地域のおじいちゃんたちから、その生きる力を学んでほしい。

そんな場づくりがしたい。

それが、自分のやりたいこと、でした。

 

 

だから、

新潟の山あいの集落から「豊かさ」を改めて見つめ直す雪の日舎さんは、

自分の中でガツンときた存在でした。

(さっきから少し褒めすぎでしょうか。笑)

(でも、本当にいいところでした。)

 

 

 

じじとあさちゃん

 

 

しかし、

最近自分は、壁に当たっていました。

 

お金、つまり、経済性との両立です。

やはり「暮らし」そのものを作るというのはあまりお金にはなりません。

あくまで「暮らし」は自分たちのものであるからです。

 

でも、この日本でお金を切り離して生活することもできない。

足りないものは買うしかないし、エネルギーや教育費など、必要最低限は稼ぐ必要があります。

 

その「稼ぐための農業」と「暮らしの一部である農業」は性質が異なると思っていて、

だから、「経済性」と「豊かな暮らし」をどう両立させるか、という悩みを抱えていました。

 

 

 

でも、

雪の日舎さんに行ってから、

悩みが小さくなりました。

 

なんだか難しいことを、難しく考えているような気がして。

 

目の前の大事にしたい何かを、ひとつひとつ、はぐくんでいくしかないのかもしれない。

 

 

 

その大事にしたい「何か」がこの一枚に凝縮されていました。

 

何を大事にしたいのか。そこがしっかりと見えてきたら、

あとは、できることをひとつずつやるしかない。

 

 

雪国の限界集落の山あいで、

小さき背中に、大きな勇気をもらったのでした。

 

みんなで畑あさごはん

 

また、この風景を見にこれるように。

この空間が、ずっと続いていることを願って。

 

 

2018年6月28日  松木 太

東京農業大学生産環境工学科4年

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佐藤 可奈子

佐藤 可奈子

株式会社雪の日舎 代表。1987年、香川県高松市生まれ。立教大学法学部政治学科卒。大学卒業後、新潟県十日町市に移住、就農。「里山農業からこころ動く世界を」がテーマ。著書「きぼうしゅうらく〜 移住女子と里山ぐらし」