雪の日舎
行ったり来たり婚

行ったり来たりの別居生活、はじめました。

2017.09.29

私、諸岡江美子は201741日に結婚しました。

現在は新婚ホヤホヤ5か月目です。

ですが、一緒に住んでいません。

いつから一緒に住むのか?

わかりません。

これから先ずっと別かもしれません。

私は新潟県の津南町、夫は同じく新潟県の妙高市に住んでいます。

車で片道1時間15分。

近いのか、遠いのか、なんとも言えない距離。

いま流行りのことばを使うと「二拠点居住」というのかもしれません。

でも私たちはよくある「都会」と「田舎」というような、対局にある二つの拠点ではありません。

「北国」と「南国」でもありません。

「豪雪地」と「豪雪地」です。

一体なんのために、似たような地域に別々に拠点を構えるのか?

その理由を初回はお伝えしようと思います。

 

出会いから結婚まで

自然で遊ぶ

私と夫の出会いは妙高の専門学校でした。同期として一緒に過ごす中で、地域の暮らしに魅力を感じていたり、里山で暮らしたいという思いが似ていて自然と仲良くなり付き合うようになりました。その頃は結婚なんて考えず、お互い好きなことをしていたので、私はその後津南町に引っ越し、彼は彼で島を渡り歩いていました。

それから数年経ち、それぞれに津南町、妙高で暮らす時間が長くなってくると、その地域の人や暮らしが好きになり愛着がわくようにもなっていました。と同時に地域に住んでいると、家族の姿がよく見えるようになり、それまであまり結婚願望がなかった私たちも「家族っていいなぁ」と感じるようになっていました。

それから徐々に「結婚」ということばが会話の中に出てくるようになるのですが、お互い結婚はしたいけれど、今いる地域でやりたいことがある、それにどう折り合いをつけるかと考え始めると堂々巡りの日々でした。

その頃、「二拠点居住」という暮らし方が注目を浴びるようになっていて、私たちも「あぁそういうかたちもあるかもな」「今の二人の思いの間をとったら、それが最善かもしれない」とは思っていました。ただ、考えすぎる性格の私は「それって地域に対しても、彼に対しても中途半端になってしまわないか」とマイナスに捉えてもいました。ましてや、子どもが生まれたらどうするのか?子どもにとって両親が別々に暮らしていることは、よくないのでは?と、子どもと関わる仕事をしていたからこそ考えてしまっていました。その頃の私はすべてにおいてマイナス思考に陥っており、そんな思いで地域おこし協力隊を続けること自体も地域に対して失礼ではないかと思っていました。

「地域でやりたいことがあるから結婚できない」「子どもが生まれたら二拠点居住はできない」と、できない理由ばかり並べていたのです。そんな私を見かねたのか、いつもは「えみちゃんの好きにしたらいいよ」と言ってくれる彼が、そのときばかりはかなり強引に結婚の話を進めてくれました。私はそのとき正直ついていけず、混乱状態。いやいや、順序とか準備とかいうものがあるでしょ!と何度もツッコミました。それでも曲げない彼に観念して(?)もうやるしかない!できる方法を考えよう!と思い、決断から1か後に籍を入れました。

 

家族のかたちは自分でつくる

を入れ、夫婦になって思うことは

「夫婦はこうあらねば」

「子育てはこうあらねば」

「移住したらこうあらねば」・・・

「こうあらねば」という枠に捉われたくないと思っていた私自身が

自分で自分を縛っていたのだなということでした。

確かに私の選んだ暮らしは、津南町にも、妙高市にも、夫にも100パーセントで関わることは不可能です。ゆくゆくは子どもにも。

でも、それが25パーセントずつだったとしても25パーセントの質をよりよいものにする。そして残りの75パーセントは周りの人が助けてくれる。

元々、自分ひとりで生きていくことなんてできないのだから、

素直に好きなことを伝えて頼ったほうがいい。

もしかしたら、それが地域で暮らす、家族で生きることの本質かもしれない。

いまはそう思い始めています。

とはいえ、まだまだ始まったばかりの結婚生活!

どうなるかわかりません(笑)

私たちはこの暮らしを「行ったり来たり婚」と名付け、

日々、より自分たちらしい家族のかたちを模索していきます。

どうぞ面白がって見ていてください。

 

諸岡 江美子

諸岡 江美子

スノーデイズファーム(株)webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。