言葉の力
2017.12.04
撮影:ほんまさゆり JA十日町の広報誌とかちゃん10月号の表紙にもなった写真です。
農家・中島弘智が綴る子どもとの日々。
自分自身が、子どものときに通っていた「田舎」を守りたい。
それは自分のなかで、子どものときの田舎での原体験が色濃く残っているから。
そんな中島がいま「お父ちゃん」として、田舎というフィールドで、作物と同じように子どもをはぐくむ日々を、みなさんにもおすそ分けします。
言葉の力
つい先日の出来事。
週末の夜、たまには友達家族と一緒にご飯を食べに行こうということで久しぶりの外食。
落ち着いた雰囲気でおいしいお肉やパスタ、オムライスのあるお店。
入店後メニューを見て注文し料理が来るまで
子供たちは部屋の中で遊んでいました。
しばらくすると男の店員さんが料理を運んできてくれたのですが
個室の入り口の一段下がったところで
店員さん「あれ? ここお水こぼしちゃいましたか?」
もうひと家族と目を合わせ
「水なんてこぼしてないよねえ?」と話をしていると
ふと嫌な予感・・・。
一気に子供たちに視線が行く。
そして一人ずつズボンをさわっていくと4歳の息子のズボンがびっしょり。
中島 「すみません、すみません」
息子 「・・・だって、でちゃったんだもん」
店員 「大丈夫。大丈夫。僕、何歳?」
息子 「4歳」
店員 「そっか、4歳か。4歳だったら、おしっこがもれそうになったらぐっとがまんして次こそはトイレにいくんだぞ」
息子 「うん」
ついつい親だったら怒ってしまう場面。
またお店だったらやさしく許してしまう場面。
そんな中、ここの店員さんは怒るわけでもなく、安易にやさしくするわけでもなく
子供と向き合い次のステップに導いてくれました。
その後、息子はもちろんみんなが晴れやかな気分でご飯を食べ
「ごちそうさま!」と元気にお店を出ていきました。

中島 弘智
農事組合法人ふれあいファーム三ヶ村理事。1979年、新潟県越路町生まれ、神奈川県横浜市育ち。大学卒業後、4年間の農業関係の出版社勤務を経て十日町市に移住、就農。