雪の日舎
コラム

まちをつくるのは大人だけじゃない~福井・茱崎町こしのさかなまつり

2017.09.29

私は現在、休学期間も含めて5年間の学生生活でお世話になった方に会いに行く旅をしています。

全国各地にいるお世話になった方に会いながら、そこで出会った全国各地の里山ライフをお届けできたらと思います。第1回目は福井県福井市の里山ライフをお届けします。

 

山と海との真ん中に

福井駅から車で約30分、山道を抜けると海が見えてきた。

この日向かったのは、福井市茱崎(ぐみさき)町の漁港で行われている「こしのさかなまつり」。

潮の匂いが心地よい港に着くと、出店がずらりと並び多くの人たちで賑わっていた。

新鮮な魚や地元のお母さんたちの販売する料理に目移りしながら進んでいると、ひときわ大きな声の「いらっしゃいませ」が聞こえてきた。そこには大きな声でおそろいのはっぴを着て、お客さんを呼び込んでいる地元の中学校の越廼(こしの)中学校の生徒たち。その声にもつられて行くと、中学生たちが笑顔で一つずつ商品を丁寧に紹介してくれた。

 

この日のために

越廼中学校では「越廼PR」というものを通して、中学生たちが越廼地区活性化に取り組んでいる。

今回はその一環として、「こしのさかなまつり」にお店を出していたそうだ。

中学生たちはこの日のために、地元の水産加工の会社に行き扱う商品の説明を受けたり、地元の宝である特産品をどう販売するのかじっくり時間をかけて学んだ。だからこそ、一つ一つの商品を丁寧に説明してくれていたのだ。

 

中学生の力は無限大

中学生の店を出すだけではなく、「こしのさかなまつり」全体を盛り上げようと様々な企画で頑張っていたのだ。

手作りの段ボール船でどれだけ長く浮いていられるかを競う「段ボール船パフォーマンス」に、オリジナルの漫才を披露する「KOSHI-1」。どの企画も手作りの温かさと、中学生の元気の良さに自然とみているほうは惹きこまれていた。会場は笑顔に包まれ、優しい雰囲気が漂っていた。

小さな漁港の「こしのさかなまつり」は、中学生の頑張りもあって、とても賑わい、私自身もとても楽しませてもらった。そして何より、一番楽しんでいるのはこの日のために企画や準備をしてきた中学生だった。不思議なことに、何かを楽しんでやっている人を見ているとこちらも楽しくなってくる。

 

未来をつくる子どもたちへ

 


 
オリジナルの漫才を披露していた男の子が私の横を通りすがり、「良かったよ」と声をかけると、「ありがとうございます」と爽やかな笑顔で仲間のところへ駆け寄っていった。

中学生のうちから生まれ育ったまちのためになにかできる地域は、とても素敵だと思う。

未来をつくる子どもたちの心にもきっとなにか残るだろう。

中学生の周りには、温かく見守る地域の大人たち。そして越廼地区を包む山と海。

そんな素敵な環境で育った子どもはどんな大人になるのだろう。

水沼 真由美

水沼 真由美

1994年、神奈川県横浜市生まれ。法政大学現代福祉学部卒。2018年3月に新潟県十日町市に移住。スノーデイズファーム(株)で新社会人としてスタート。働きながら社会福祉士を目指して勉強中。