農業がつなぐ、福祉と暮らし~社会福祉法人くりのみ園
2017.09.29
皆さんは「福祉」という言葉からどんなことを想像しますか。
高齢者の介護、障害のある方へのサポートなど、様々な「福祉」を想像されると思います。
私は
、大学で「健康で幸せな暮らし(Well-Being)」を実現するという福祉本来の理念をもとに、座学だけではなく福祉の現場で実際に学ぶ機会を与えてもらいました。「福祉」を学ぶ中で、「暮らし」は切り離せないものだと感じたのです。
このコラムでは、「福祉」が「暮らし」にどんなふうにつながっているのか、様々な活動を取り上げながらお伝えできたらと思います。
第1回目は長野県小布施町で、障害者の就労支援を農業で行う社会福祉法人くりのみ園での実習を通して学んだ「福祉と暮らし」をお届けします。
自然に囲まれて
くりのみ園のある小布施町は、長野県の北東に位置し、歴史的な街並みを活かしたまちづくりで人気の観光地にもなっています。葛飾北斎が晩年を過ごした場所としても有名です。
くりのみ園近くの都住駅を降りると、一面に広がる果樹園。
そこからさらに進むと畑と田んぼが広がり、その中に大きな平屋のくりのみ園はあります。
くりのみ園は障害者の就労支援を行う施設で、約50名の方が働いています。
仕事は、野菜や果物を無農薬で育てたり、鶏にストレスが少ない平飼いの養鶏、収穫した野菜を使った加工品作りなど、多岐にわたりそれぞれの特性を活かしながら仕事に取り組んでいます。
誇りをもって働くということ
社会福祉法人くりのみ園の代表の島津隆雄さんは、「農」には「福祉」を変える力があると言います。
「農業の仕事は多岐にわたり、たくさんの仕事があります。自分に合った仕事を見つけることで、やりがいを感じ、誇りを持てるようになると思うのです」と話してくれました。
確かに、くりのみ園にはたくさんの仕事があり、働いている人はみんな楽しそうにしていました。
「お仕事は楽しいですか」と声をかけると、「とっても楽しい」と笑顔で誇らしく答えてくれた人もいました。農業の仕事は多岐に渡り、その人にあった仕事を見つけられる可能性を感じました。
住み慣れたまちで暮らし働く
くりのみ園で働く人たちは近くの自宅から、電車、バス、車などを使い自分の足で通ってきます。
そして、くりのみ園へ向かう途中では近所の農園方とおしゃべりをしたりするそうです。
住み慣れたまちで、地域の人に見守られながら働けることは、とても安心できることだと思います。
地域の人たちも、「同じ農業をする仲間だからお互い様の関係」だと話していました。
くりのみ園のように、普段の暮らしの場所で福祉を提供することで、福祉のサービスを必要とする人はもちろん、周りの人にも良い影響を与えているのかもしれません。

水沼 真由美
1994年、神奈川県横浜市生まれ。法政大学現代福祉学部卒。2018年3月に新潟県十日町市に移住。スノーデイズファーム(株)で新社会人としてスタート。働きながら社会福祉士を目指して勉強中。