雪の日舎
福祉と暮らし

あるものを活かして強みに。介護学校で学んだ介護と地域の共通点

2018.04.16

皆さんは「福祉」という言葉からどんなことを想像しますか。

高齢者の介護、障害のある方へのサポートなど、様々な「福祉」を想像されると思います。

私、水沼真由美は、大学で「健康で幸せな暮らし(Well-Being)」を実現するという福祉本来の理念をもとに、座学だけではなく福祉の現場で実際に学ぶ機会をいただきました。

「福祉」を学ぶ中で、「暮らし」は切り離せないものだと感じたのです。

このコラム「福祉と暮らし」では、「福祉」が「暮らし」にどんなふうにつながっているのか、福祉の視点から地域のあり方を学び続けている中で感じたことを綴ります。

 

今日は、おばあちゃんが認知症になったことをきっかけに社会福祉の道を歩むなかで、介護学校で学んだ福祉と暮らしの共通点を綴ります。

 

おばあちゃん、ありがとう

グループホームで

▲入所していたグループホームで

 

私が社会福祉を専攻するきっかけになったのは、おばあちゃんが認知症になったこと。

最近よく耳にする「認知症」に、まさか自分の家族がなるとは思っていませんでした。

物忘れがひどくなったり、同じことを繰り返し言っていたり、優しかったおばあちゃんが怒りっぽくなったりと、
私が高校生の頃に症状が顕著に出てきて、生活していく上で様々な介護が必要になりました。

仕事帰りにおばあちゃんの家に寄って介護をする母を見て、私自身は大変そうだなと思っていたものの、母は「ケアマネージャーさん(*1)を始め、支えてくれる人たちが優しくていい人だから、とても助かっている」としきりに言っていたのです。

 

そんな経験から、介護を必要としている人はもちろん、介護をしている人の支援をできるような仕事に就きたいと思い、社会福祉の道を進みました。

 

(*1)ケアマネージャー(介護支援専門員)とは、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者。(参考:厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf

 

 

介護ってなんだろう

タクティールケア

 

私は大学に通うかたわらで、訪問介護の資格を取るために介護専門の学校に通っていました。
最初は資格と技術欲しさに通っていたたものの、後に介護そのものを見直す機会となります。

 

「介護」と聞くと、高齢者や障害者の生活のなかでできない事をサポートするものだと想像していました。
入浴や食事、排泄など生きるために必要なこと、つまりその人ができないことに対してサポートすることだと思っていました。

しかし、専門学校の先生に出会ってから、その考えは大きく変わります。
私は介護の根元にあるものを考えず、介護を理解したつもりになっていたのだと反省しました。

現場経験20年以上の介護学校の先生は、

「介護士は相手の持っている力を見抜く。そしてその力を磨くことが介護。ないものよりもあるものに注目できれば、きっと良い介護はできるはず。介護者として心に留めておいて欲しい」

と話してくれました。

 

その言葉にハッとして、私の介護に対する思いは変わりました。
できない事のサポートはもちろん必要ですが、誰しもできることがきっとあるはず。それに気づけたらお互いに幸せな介護ができるだろうと。できないことのサポートが介護ではなく、できる事も見抜き、できることはその人の強みにできる介護をしたいと思いました。

 

介護学校に通ってから、おばあちゃんのことをよく思い出しました。
年々進行する認知症の状況に、当てはまるところがたくさんあったからです。

「あのとき、このことを知っていたら、私も少しは力になれたかな」

とちょっと悔しく思うこともありました。

 

孫の名前を忘れてしまった

家事のやり方がわからない

ごはんは一人で食べれない。

できないことばかりを先にあげてしまっていた気がします。

 

でも、おばあちゃんは

 

孫が来ると喜んでくれた

一所懸命何かを伝えようとしている

ご飯を食べようとしている

 

後から振り返ると、できることはたくさんありました。

 

おばあちゃん、

気づくのが遅くなってごめんね。

でも前に進む力をくれてありがとう。

孫は頑張るので、天国から見守っていてください。

 

あるものを探して、豊かにつなぐ

梅の木のつぼみ

 

現在私は、新潟県十日町市に移住し、暮らしていると介護学校の先生の言葉を思い出します。

ないものを作ることはときには必要なことであり、素晴らしいことだと思います。
だけど、介護学校で学んだ「ないものねだりよりも、あるもの探し」は、私がこの町で暮らしていくうえでも、共通点であることに気付きました。

それは「あるものを見つけ、それを磨く力」

これからの農村の未来をつないでいくために必要なことだと気付いたのです。

 

私がこれから仕事をしていく上で、このことをしっかりと心に留めておきたいと思います。

 

 

「人も、まちも、『あるもの』をできるだけ見つけて、次こそはちゃんとだれかの力になりたい」

そう思いました。

 

水沼 真由美

水沼 真由美

1994年、神奈川県横浜市生まれ。法政大学現代福祉学部卒。2018年3月に新潟県十日町市に移住。雪の日舎で新社会人としてスタート。働きながら社会福祉士を目指して勉強中。