「地域の未来を切り拓く」フレッシュで、まっすぐなまなざし〜南魚沼市山谷 青木拓也さん
2018.06.11
週のはじめ、お休みモードから仕事モードへ切り替える朝、なんだか憂鬱ですよね。また、産休中のママたちも家族が仕事や学校へ向かい、赤ちゃんとふたりの時間が始まると思うと、よし!と新たな気持ちで朝を迎えているのではないでしょうか。そんな少し緊張気味の週のはじめに、農業男子のはぐくみパワーをチャージして、心地よい1週間を始めませんか。
このコラムは、雪国で作物をはぐくむカッコイイ男性たちを、雪の日舎女性メンバーがキュンキュンしながら紹介していくシリーズです。あなたが食べているそのお米、野菜、お肉……どんな人がはぐくんでいるか、知っていますか?農業男子たちのはぐくみパワーは、あなたのはぐくむ暮らしをさらに豊かにしてくれるはずです。
南魚沼市山谷 米農家・青木拓也さん
住んでいるところ:南魚沼市山谷
作っているもの:米、スイカ、メロン、わら細工用稲など
キュンポイント:フレッシュさと落ち着きを、併せ持っているところ
農業のことや暮らしのこと、聞いてみました。
―農業を始めたきっかけは?
祖父が兼業農家だったのですが、父はサラリーマンだったし、自分自身も農家になるつもりはありませんでした。
漠然と「広く農業関係の仕事」について勉強しようという気持ちで、大学に進学しました。
農業関係の仕事に就くことを頭に入れながらも、生産者になるという意識は全くなかったですね。
農業へ興味を持つきっかけとなったのは、大学で海外に行ったこと。海外に行くと日本のこと、特に農業のことをよく聞かれました。タイなどの発展途上国では、日本への憧れや興味があるんですよね。なのに、自分は自国のことを何も知らない。
自分は米どころに住んでいたのに、それが当たり前すぎて、ちゃんと目を向けたことがなかったと気付いたんです。
それからは北から南まで、日本中の農家を20軒くらいまわって、様々な農業のやり方や姿勢、農村の社会についてお話を聞かせてもらいました。
その中で出会った農家さんたちは、農業だけではなく、地域社会に対しても熱い想いを持っている人が多かったですね。
その頃から、農業と地域社会のつながりについても考えるようになり、自分の生まれた土地で農業をやろうとここに帰ってきました。
−おじいさまの代までは兼業農家だったということですが、兼業農家についてはどう思われますか。今は専業農家として、法人化したのですよね?
昨年、「ひらくの里ファーム株式会社」として法人化しました。地域の方14軒が出資し、作業受託も行なっています。農家は9軒、そのなかでも専業は2軒、他7軒は兼業ですし、非農家も5軒います。
法人設立後、生産規模拡大と作業受託のため、作業場を建てました。
この工事は、出資者の中で建築業をやっている方が担ってくれていますし、電気工事もまた違う出資者の方にお願いしています。
専業農家だけでなく、兼業や非農家で構成されているからこそ、農業以外にも手に職を持っている方が多くて、面白いチームだなと思っています。
兼業だからこそ持っている、多彩な能力があるんですよね。
−まだお若いのに法人化するのは、覚悟が必要だったのではないでしょうか?
そもそも、農業を始めるときから、最後まで1人でやろうとは思っていませんでした。これからは、自分の子どもに家業を継がせるという今までのやり方で継続できる時代ではないと思っています。
だからこそ、法人化し農業が続けられるシステムを作る必要があるんです。
自分の子ども、地元の人でなくても、外から来た人でも、初心者の人でも、農業や地域に入りやすい仕組みを作らなければいけない。
そういう意味では、はじめから「自分が、自分が」という意識はなかったですね。この地域に合ったやり方をやっていこうということは、ずっと考えています。
そう考えるようになったのも、大学時代に日本中の農家を回っていろいろな事例を見たことが影響しているのかもしれません。
−「『豊かさとは何か』を常に意識します」ということを農業理念の一つに挙げていますが、青木さんにとって「豊かさ」とはなんですか。
そうですね。それが「豊かさ」というのかわかりませんが、いまは「人づくり」を大切にしています。昨年までは「ハコ作り」に注力してきたのですが、そちらもひと段落したんです。次は、「人づくり」に注力したいなと思っています。
ひらくの里ファームでは、たくさんお米を作って売って、規模拡大して……というよりは、農業を通して「人とのつながり」や「意思疎通のしっかりできる関係」を築いていきたいと思っています。
―農業以外に楽しんでいることはありますか。
外で遊ぶことが好きなので、ランニングや登山をしています。農業という職だと、なかなか他の職種の方と休みが合わないので、1人でも楽しめることがやりやすいですね。でも、登山は仲間と一緒に行くことも多いですよ。
冬はスキーもしますし、地元に帰ってきてからはスノーボードもするようになりました。
また、時間が取れる初冬や春先は旅行に行くことも多いですし、いろんな土地に行くことは好きですね。
―好きな女性のタイプは?
話好きな人。
背が小さくて、ちょっと抜けている感じ。
そういう人を好きになることが多いですね。
ちなみに、いまはフリーです。
いつでも、お待ちしています(笑)
―最後に一言PRをどうぞ!
ひらくの里ファームは地域の課題を解決するような会社だと思っています。なので、地域で困っていることがあれば、言ってください。その悩みが新しい事業になるかもしれないですし、ヒントになると思うんです。
また、新しい人、若い人にもチームに加わってもらいたいという思いもあります。やってみたい!という方がいれば、ぜひひらくの里ファームに、山谷に来てもらえたら、嬉しいです!
–青木さん、ありがとうございました。
【取材後記】
実はこのコラムを始めたとき、雪の日舎代表・佐藤から、「平成のイケメン!お若いにも関わらず、農業に対しても熱い思いを持っていて、しかも独身!ぜひ農業男子で取材したい!」とお名前が上がっていた青木さん。
やっと念願叶って取材に伺うことができました!
そんなイケメン情報を聞いていたので、津南から南魚沼へ峠を越える道中もドキドキワクワク。
まだ雪の残る八海山の麓に広がる、見晴らしの良い田んぼの真ん中に
「ひらくの里ファーム」はありました。
爽やかな笑顔で迎えてくれた青木さんに、様々なお話を聞いていくと、
そのフレッシュさだけではなく、農業や地域のこれからを冷静に、そしてしっかりとしたまなざしで捉えていることも伝わってきました。
地域の方から愛され信頼されるのは、その若いパワーと落ち着いたまなざしを持つがゆえなのだろうなぁ。
そんな青木さん、なんといまはフリーだということ!
これは世の中の女性陣が放っておかないのではないでしょうか。
お話を聞いた人
青木拓也さん ひらくの里ファーム株式会社
(所在地)新潟県南魚沼市山谷
(問い合わせ先)080-6642-0206
メール hitakunosato@gmail.com
URL https://www.hirakunosatofarm.com

諸岡 江美子
スノーデイズファーム(株)webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。