雪の日舎
週のはじめに農業男子

野菜と町と妻へ。歌うようにあふれでる愛にほっこり~新潟県津南町赤沢・滝沢勇太さん

2018.03.26

週のはじめ、お休みモードから仕事モードへ切り替える朝、なんだか憂鬱ですよね。また、産休中のママたちも家族が仕事や学校へ向かい、赤ちゃんとふたりの時間が始まると思うと、よし!と新たな気持ちで朝を迎えているのではないでしょうか。そんな少し緊張気味の週のはじめに、農業男子のはぐくみパワーをチャージして、心地よい1週間を始めませんか。

このコラムは、雪国で作物をはぐくむカッコイイ男性たちを、雪の日舎女性メンバーがキュンキュンしながら紹介していくシリーズです。あなたが食べているそのお米、野菜、お肉……どんな人がはぐくんでいるか、知っていますか?農業男子たちのはぐくみパワーは、あなたのはぐくむ暮らしをさらに豊かにしてくれるはずです。

 

 

 

新潟県津南町赤沢 キャベツ農家・滝沢勇太さん

 

住んでいるところ:新潟県津南町赤沢
作っているもの:キャベツ、雪下にんじん、加工にんじん、水稲、とうもろこし
キュンポイント:歌うように溢れ出る野菜と奥様への愛

 

農業のことや暮らしのこと、そして家庭での姿についても聞いてみました。

 

 

 

―農業を始めたきっかけは?

 

小学生の頃から、家の農業の手伝いをよくしていて、出荷用のダンボールを100〜200個くらい作ったりしていましたね。

ただそれは、手伝いという意識ではなく、生活の上でやるものだと思っていたかな。

ここら辺は、農家が多い地域だから周りの友達もそうだったし、当たり前にやるものだという意識でした。だからその頃は特に反発もなかったですね。

そうして、父が勧める東京農大に通って、家業を継いだという形になります。

 

 

 

−その道筋で反発することはなかったんですか?

子どもの頃はなかったですね。

ただ、大人になると他の道とかやりたいことも見えて来るじゃないですか。でも、そこまで来るともう後戻りできないところまで来ていたというのが正直なところですかね。一応長男だし、農業自体も嫌いじゃないし、いいかなと。

作物を育てるのは好きなんですよ。

 

 

 

 

−具体的には、どんなところが楽しいですか?

 

例えば、うちはキャベツがメインなのですけど、収穫は手作業なんですよ。それもゲームでAボタンを押すみたいな感じで、楽しくないわけじゃないんです。

ただ、数が多すぎて大変なんですよね。実は、もうちょっと仕事を控えても良い気がするんですけど。でもいつ何が起こるかわからないですし、稼げるうちは稼いでおいた方が良いのかなとも思ってやっています。

農業は育てるのを楽しむよりは、生産性重視になってしまうから、作業に追われてしまいます。工場みたいなイメージのほうが近いですかね。楽しむ余裕はないかな。

いろんな作物を育てる楽しみというのもあるけど、それはそれで収入の面で大変になってくる。

効率も悪くなるし、かぶる仕事も多くなるんですよ。

だから仕事と割り切って、単一作物を育てて、たまに遊びで珍しいものを育ててみたりっていうのがちょうど良いかな。

 

昨年はストライプペポー(種取りかぼちゃ)、ピュアホワイト(白いスイートコーン)など色々挑戦してみました。

新しいものを育ててみると、失敗もあるけれど、その分楽しみも大きくて。

今年はニンニクも植えて、今雪の下です。どうなるか楽しみですね。

 

 

 

−他の仕事をやりたいと思ったことはありますか?

あります、あります!

大学生の頃、よくブックオフに通っていたので、ここで働いたら楽しそうって思っていました。漫画とかも読み放題だし、バイトから成り上がって社員にもなれるしって。

あとは普通の公務員とかも良いなと思ったこともあります。土日休みに憧れました。

でも、就農してしばらく経つと諦めがついたんですよね。これはこれで良いんじゃないかって思えるようになったんです

 

それに、この辺は一年中農業ができるわけではなくて、2月〜3月の4ヶ月間は農業ができないわけですよ。山菜を栽培して、という手もあるようですけど。この辺は大体の農家は除雪とかスキー場の仕事に行くから、ある意味それが気分転換になっているかも知れません。また、人参の皮むきの仕事に行っている人は土日休みがもらえて、リセットになると言っていました。

よその地域の人にも

「作物を一年中作っていると息つく暇がなくて、逆に農閑期がある方が羨ましいよ」

と言われたんです。

 

できないならできないで割り切って他の仕事ができるっていうのはリセットにもなって良いなって。出稼ぎに行っても良いですしね。

 

 

―滝沢さんは冬の間はどんなことをしているのですか?

僕の場合は主にスキー場の仕事ですね。いまはリフト係ですが、レンタルの仕事やインストラクターをやったこともあります。

あと、スキー場が始まる前の三週間くらいは時間が空くので、冬休みですね。その間に、事務仕事もしてるんですけど、旅行に行くことも多いです。今年は妻と草津に旅行に行きました。そこでリフレッシュができていますね。

なかなか勤め人で三週間も休みが取れることってないですから、それは雪国の農家の特権かもしれません。

 

また、就農して1年目の冬は、東京に免許を取りに行ったのですが、免許取得したあとの余った期間には、日雇いのバイトをしていました。深夜にビルの清掃をやったりとか、いろいろな経験をして、楽しかったですよ。

 

 

 

―昨年結婚したということですが、結婚して変わったことはありますか?

生活がだいぶ変わりましたよね。それまではそっけない暮らしだったんです。仕事とそれ以外との往復しかしていませんでした。

加奈子さんが来てくれてからは、加奈子さん中心です。加奈子さんと仕事。加奈子さんと朝ごはん。加奈子さんとお出かけ。そんなふうに、加奈子さんと……を真ん中に考えるようになりました。

 

すごく楽しくて良いです。

 

あとやっぱり張り合いになりますね。

加奈子さんとの旅行を楽しみにがんばろう!って。

 

©2016 studioHATOYA

 

 

 

―加奈子さんも農業を手伝われているようですが、それは勇太さんの意向だったのですか?

「できたら少し手伝ってくれたらうれしいな」くらいな気持ちでいましたね。

人によっては合わない仕事ですから。足腰も酷使するし、泥んこだし、それを嫌がらずにやってくれる加奈子さんには感謝しています。

ただ、本人が苦にならない程度にやるのが一番だとは思っていて。自分が半強制的に農業の道に進んだので、押し付けることはしたくないと思っています。

農家の人は逆に嫁さんに農業させたくないって人も多いですよ。やっぱり自分がその大変さも色々見てきているので、強制はしないでしょうね。

逆に嫁さんと一緒にやっている人の方が少ないかもしれません。

新規就農で来た方は、一緒にやっている人も多いですけどね。

 

 

―奥様との出会いは、十日町・津南若手ファーマーズ「ちゃーはん」だったんですよね。

そうなんです。「ちゃーはん」で作ったギフトブックの取材で加奈子さんが僕のことを取材に来てくれたのがきっかけでした。

そもそも「ちゃーはん」自体も、気がついたら入っていたんですよ。写真撮影をするっていう話があったので、青年農業士の集まりだと思って行ったら、「ちゃーはん」の写真撮影に収まってしまって。写真撮ったんだから、じゃあ仲間に入ってという流れでした(笑)

でも入ってみると、同じ農業をしていても津南と十日町でも全然知らなかったなぁということに気づきました。

だから他の人の農業の動きを知れたのもあるし、加奈子さんとも出会えた、そういうのも含めて僕にとっては多様な出会いの場になったと思います。

これからは、他の人にとっても出会いの場になれば良いなと思っています。それは農家との出会いでも良いし、同じ作物をやろうという人同士の出会い、畜産と肥料の情報交換をするとか、そういうことを含めて多様な出会いの場になればいいなと思います。

 

©2016 studioHATOYA     ちゃーはんで作った「田んぼの教室」で、黄金色の稲とちゃーはんメンバーに囲まれての結婚調印式。

 

 

 

―最後になんでもPRをどうぞ!

津南町は四季を感じられるのが良いところです。春に雪解けの水の音から始まって、雪下にんじんが出る、その後アスパラが出てくるでしょ。そしてスイートコーンというように、季節に応じた旬のものも食べられます。

新しい人が津南にくれば、地元の人は喜ぶと思います。昔からある地域で固まってしまうという閉鎖的な部分もありますが、それでもあんまり邪険にされることはないと思います。

ありがたいことですよ、新しい人が来てくれるというのは。そうじゃなきゃ、誰もいなくなりますから。人材が常に不足している中で、これから一緒に町を作っていけるような人に来てもらえたらいいな。農業のことでしたら、うちに来ていただいても構いませんしね。ぜひお待ちしています。

 

 

 

―滝沢さん、ありがとうございました。

 

 

 

【取材後記】

穏やかな笑顔で迎えてくれた滝沢さん、ガツガツと主張するようなタイプには見えませんでしたが、お話を聞いていると、野菜や津南町、そして妻である加奈子さんへの愛がどんどん言葉であふれてくる方でした。

それはそれは、歌うように、なめらかに、さりげなく言葉が流れてくるので、

「うんうん。」と聞き流してしまいそうにもなるのですが、「え、ちょっと待って。さりげなく、こちらが恥ずかしくなってしまうようなことを言っているぞ」と、なんだかお話を聞いているこちらが頬を赤らめてしまいそうになりました。

 

と同時に専業農家として、一家を支える世帯主として、農業で食べていくためにシビアに働きながらも、遊び心も忘れない、そのメリハリのある生き方は、女性としてきゅんとしてしまうギャップでした。

 

これは取材で出会ったという妻の加奈子さんも、恋に落ちてしまうのはよくわかります。

 

 

 

お話を聞いた人

滝沢勇太さん 滝沢農場

(所在地)新潟県津南町赤沢

(問い合わせ先)025-765-1998

 

 

 

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諸岡 江美子

諸岡 江美子

雪の日舎webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。