地域の人はどう思ってる?〜津南編
2017.12.11
豪雪地・津南と豪雪地・妙高
どちらかを選ばなきゃいけないなんて、つまらない。
どちらも選びたいから、行ったり来たりする。
「二拠点居住」というライフスタイルへの憧れでもなく
ただただ、自分たちのしたい生き方を選びとってきた結果。
それが私たちの行ったり来たり婚です。
「現実は甘くない」というもっともな意見
私たちはお互いが「移住者」であることから、地域の人たちの中には「定住してほしい」という期待が少なかれあると思っています。実際に「旦那さんを連れてこれないの?」「奥さんはいつこっちに来るの?」という声もよくかけられます。第1話でも、私たちが行ったり来たり婚を選んだ思いは書きましたが、近隣地域での移住者の奪い合いではなく、もっと柔軟にそれぞれの地域に関わる暮らし方があってもいいのではないかという思いのもと、あえて手間のかかる暮らし方を選んでいるわけです。
こういう話を地域の人にすると、一旦理解しようと言葉を飲み込んでくれるのですが、「いや、そうは言ってもね、実際結婚生活や子どもが生まれたらそうはいかないよ。現実は甘くないよ。」ということも言われます。
一緒にいるから上手くいくわけではない
また、こう言う地域の人もいます。「確かに、一緒に住んでいるからと言って上手くいくわけではないからね。それくらいの距離感の方が上手くいくかもしれないね。」
これについては夫にもよく言われることです。二人の間の意思疎通ができていなくてギクシャクしているとき、「やっぱり離れていると、お互いの表情も見れないし、コミュニケーションが取れなくなるんだな〜」と思ってしまうときがありました。でも夫に言わせると「それって一緒にいたらそれだけで解決されることじゃない」らしいのです。「一緒に住んでいたって、コミュニケーションをとっていなければ同じでしょ」と言われると、確かになと納得してしまったのです。
結局のところ、地域の人たちの中にも様々な意見がありました。それはこれからも私たちの生き方によって、日々変化していくのだろうと思います。
共に歩みたい人は誰なのか
そんな中、先日私の暮らす津南町の三箇地区で収穫感謝祭が開催されました。三箇地区収穫感謝祭は年に一度昔の小学校区で集まるイベントで、普段なかなか会うことのない隣の集落の人と会えることを楽しみにしている人もたくさんいます。
そんな大切なイベントの中で、サプライズで結婚祝いと誕生日祝いをしていただきました。ケーキや花束をいただき、とても嬉しかったのですが、さらに驚くサプライズがありました。
実はその日、三箇地区の人たちは私の夫に「サプライズで登場してもらえないか」と頼んだようなのですが、あいにくどうしても外せない仕事がありイベントに来ることはお断りしたようです。
それを受けて三箇の人がとった行動にびっくり!なんと片道1時間半かけて、夫の住んでいる妙高までビデオレターを撮りに行ってくれたのです!まさに「行ったり来たり」(笑)
さらに当日来れない夫の代わりに、こんな等身大パネルまで作ってくれていました。
「地域からの気持ちです」
と言っていただいた素敵なプレゼントは、私たちにとって自分たちの選んだ暮らしを自信を持って歩んでいこう、その先に地域の明るい未来が描けるようにまずは自分がしあわせであろう、と思わせてくれるものでした。
地域の中にも様々な意見があるのは、あたりまえ。
たとえ10人中9人が賛成していなくても、たった一人が信頼して応援してくれていたら、それでいいじゃないか。
私たちはその9人の顔色を伺って暮らすのではなく、たった一人の信頼できる人と共に歩みたいんだ、ということを再確認できました。
ちなみに、この収穫感謝祭の日、夫は来れない予定だったのですが、三箇の人たちの粘り強いお誘いメール攻撃に心を打たれ、滞在時間たった15分のために片道1時間半かけてサプライズ登場してくれました。
地域の人が100人余り集まる、いわばアウェイな状況でいきなり登場し、喋り、豚汁を食べて15分で帰っていく(笑)そういうことを苦もなくやってのける夫にも改めて感謝した日でした。
■津南町三箇地区
信濃川の川西にある3つの集落からなる地区。約130世帯が暮らす。2009年に廃校になった三箇小学校を拠点に、都会との交流事業を進める。(三箇地区都会との交流を進める会)

諸岡 江美子
スノーデイズファーム(株)webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。