雪の日舎
今日の佐藤の、かんがえごと

SALASUSUを訪ねて、カンボジアへひとり旅【1】ー妊活やめて、作り手に会いにー

2019.07.12

今月もだめだった。「もうええわ、カンボジアいこ」

それはまだ、2人目を授かる前のこと。

実は、1人目の産後、あまり間をあけずに2人目を授かりたいなぁと、勝手ながら思っていた。

「早めに娘に妹か弟をつくってあげたいなぁ」と思いつつ、でも妊娠したら産前産後で2〜3年くらいはあまり遠出できなくなるし、仕事も十分にできなくなるから、仕事の計画は慎重に。
とは言え、計画しててもコウノトリはやってくるとは限らないし…。

 

こどもがほしい気持ちと、自分の年齢と、そんなライフプラン抜きで仕事のことだけを考えて全力注ぐ!ということがやりきれないもどかしさなど、いろんな感情を抱きながら、不確定な未来に対して、私なりのゆるい妊活や準備やセーブをしていた。

 

>>そのときのことを一部、こちら「今日の佐藤の、考えごと」にも書いています。

しかし。
意外とやっぱり、いやはや、コウノトリさんがやって来なかったときのガックシ感は、本当に泣きたくなる。そして理由がわからないからちょっとしたスランプになる。夫と喧嘩が増える。うーん。

 

それが今からちょうど、1年前のことだ。
さて、怒涛の農繁期が山を越えるころ、産後何回も何十回も経験した「あ、今月もだめだった」が分かった瞬間、このときはいつもと違った。
コウノトリの代わりに天の声が降りてきたのだ。

 

 

「今だ!カンボジアに行こう」

言っておくが、カンボジアに子宝の神様がいるからではない。

 

目的地は「SALASUSU」の工房。
航空券をとったのは、出発日の2週間前だった。

 

 

何気なく支援したクラウドファウンディングから

SALASUSUってなに???と思われた方も多いと思うが、
私とSALASUSUが出逢ったのは、クラウドファウンディングだった。

こどもの人身売買問題に取り組む認定NPO法人かものはしプロジェクトから生まれたライフスタイルブランドSALASUSU(当時SUSU)。その支援をしたのがきっかけだった。

大学の友人がそのNPOに勤めていたこと、また私自身大学在学中は、人道支援の分野で海外で働きたいと思って海外に渡っていたこともあり、その活動に共感していた。

 

それ以上に、大学の友人が頑張っているという理由で何気なく(と言ったら失礼だが…)支援したクラウドファウンディングのリターン品のSUSUバッグがとっても可愛くて、それ以来SUSUブランドを愛用するようになった。

 

少しずつ私の身の周りにSUSUグッズが増えてきた頃、

 

2018年4月に、SUSUはSALASUSUと名称変更をし、認定NPO法人かものはしプロジェクトから独立。「ライフジャーニー」(人生の旅)をキーワードに、再スタートを切った。デザインも新しくなり、商品の内側には作り手さんの判子が押されるようになった。

そして、商品を買うと、工房訪問ができるチケットがついてきた。

 

場づくりのヒントがほしい

その頃、2013年より小さくはじめた干し芋事業が、生産者や販売数を少しずつ増やしていき、この干し芋にたくさんの旅をしてもらうべく、昨年は腹をくくって干し芋の貯蔵庫と加工所をつくろう!と計画していた時期だった。

 

 

ただ、その場所は単なる貯蔵&加工場ではなく、

農業を通して集落の方たちから生き方を教えてもらったように、歩きつづける誰かを受けとめ、ひとをはぐくむような場づくりをしたかった。作物をはぐくむだけではない、農業の「ひとをはぐくむ力」を形にしたような加工所。

味気ない施設でなく、味噌蔵・酒蔵・バリのスパみたいに周辺環境と一体になった、働く人にとって心地いい空間。

大人もこどもも一緒にものづくりをする楽しい仕掛け。

そして農がうむ価値が時代や国境を越えてくような拠点。

……と、私の悪い癖で、やりたいことや妄想はたくさんだった。

 

けれど、今まで作物や生産者さんたち、一緒にものづくりをする仲間たちとだけ向き合ってきた私にとって、もっと多様な人たちとともにする「ひとづくり」や「場づくり」は、未知の世界だった。

 

海外の農村では、なにが行われているのか

▲salasusu HPより

そんなとき農村、女性、ものづくり、ライフジャーニーというキーワードにひっかかった。大好きなブランドSALASUSUが、経済や時代の変化のなかにあるカンボジアで、農村の貧困層の女性たちと行っている、リアルな「ものづくりからのひとづくり」の現場を見てみたい。

会いに行きたい。

場づくりの参考にしたい。

もし来月うまく妊娠できたらもう行けなくなるし、あっという間に稲刈り始まるし……

 

ぬぬ〜

 

農繁期の山を越え、次の山を迎えるまでの谷、「よし今や!」と思い立ったのだった。

 

 

思い切って行ったカンボジアでは、出会ったひと、場所、全てが刺激的でアイデアに溢れたものばかりだった。

一人でカンボジアに行かせてくれた、夫や仲間たち、本当にありがとう…。

 

当時2歳の娘を残して行くため、滞在は最小限の3泊4日。前後1日はほぼ移動のため、実質2日間の勝負!

 

 

弾丸カンボジア1人旅、さてさて、どんな旅になったでしょうか!

 

その内容は次回に続く……

 

 

 

SALASUSU

カンボジア発のライフスタイルブランド
SALASUSU(サラスースー)。
日々の暮らしも、特別な旅路にもよりそう、シンプル&クリーンなラインナップ。
農村にある小さな工房で、近隣の女性たちによって、丁寧に仕立てられています。

佐藤 可奈子

佐藤 可奈子

株式会社雪の日舎 代表。1987年、香川県高松市生まれ。立教大学法学部政治学科卒。大学卒業後、新潟県十日町市に移住、就農。「里山農業からこころ動く世界を」がテーマ。著書「きぼうしゅうらく〜 移住女子と里山ぐらし」