雪の日舎
はじめまして、雪の日舎です。

第4話 「見つめなおす、地元のまち」建築士・佐藤幸治編〜はぐくみストーリー〜

2017.09.29

ここでは、メンバーたちが、今にいたるまでにはぐくんできた各々のストーリーを、ご紹介いたします。2人目は佐藤幸治です。

 

はじめまして、佐藤幸治です。

雪の日舎の佐藤幸治です。十日町市出身。十日町高校卒業後、上京し建築の専門学校へ、その後都内で就職、現在はUターンし家業の工務店と設計事務所を営んでいます。また地域の建築士ユニットstudio-H5.llcの仕事もしています。そんな私がどういう経緯で雪の日舎に携わるのか、地元への思いや視点の変化とともにお話ししたいと思います。

 

暮らしのそばに仕事があった~当たり前に進む建築の道~

十日町に生まれ、大工の家で育ち、子どもの頃は作業場が遊び場でした。当たり前のように、暮らしのそばに「建築」がある環境の中で、自然に建築の道を志すようになりました。その部分ではほとんど悩んだことがありません。建築を学ぶため東京の専門学校に入学したのち、住友不動産(株)に就職し、戸建て住宅部門で8年間の実務経験を積みました。いずれは修行して地元に帰ろうという思いがあり、2008年に地元、十日町市にUターン、ここまでは子どものころからなんとなく想像していた道をただただ走ってきました。

 

Uターン後。求められているものと、現実とのギャップ

大企業に勤めて、現場管理を4年、住宅営業を4年やって一通り仕事を学んだ気になって地元に帰ってきたのですが、早々に実は自分が何者でもないことに気づかされたのです。大工でもなければ、設計事務所の建築士でもない。地元では「○○屋さん」でないと、認識してもらえないはがゆさがありました。一人前になって帰ってきたつもりが、しかも独身で帰ってきて、何してたんだっていう苦い記憶があります。「地元ではたらく」ということは、自分が想像していた世界とは全く違ったのです。それに気付いて、まずは必死に勉強して一級建築士の資格を取り、設計事務所を開きました。それで初めて自己紹介がちゃんとできるようになった気がしました。

 

十日町のまちづくりに建築士ができること

設計事務所を構えて約1年ほどした頃、長野で行われた建築士会の関東ブロック大会に参加して、小布施市のまちづくりの話を聞く機会がありました。そこで、建築とはまさに「まちを作り、街並みを作り、人を呼ぶ」、ということなのだと改めて目の当たりにしました。そこで一緒に参加していた建築士仲間たちと、これからの十日町を考えたときに、自分たちがなにかしなければいけないという思いを共有したのです。その後「リ・デザインプロジェクト」と題して「十日町市のまちづくり」についての企画書を市役所に提出し、そのキックオフイベントとしてStudio-Lの山崎亮さんの講演会を開催することになりました。講演会には約250人もの方が来てくださり、その時の熱気みたいなものは、今でも強く印象に残っています。それからは中心メンバーだった5人で県内の様々なワークショップや勉強会に行って、改めて「建築」と「まち」がものすごく近いのだなということと、これは自分たちが地域の建築士として取り組むべき課題なのだなということを再認識しました。そうやって手を挙げたことで、いろいろなお声がけをいただけるようになり、廃校利活用プログラムや市営シェアハウスの設計等の仕事をさせていただき、現在のstudio-H5.llcの活動に繋がっています。

 

結婚、子育ては新たな視点との出会い

妻との出会いで変化したことは、新たな視点が増えたということです。彼女のつながりでいろいろな人に会うことも増えて、違うジャンルの人たちと交わることで新たな視点が増えていったと思います。その中でも大きな変化は、結婚して妻の農業を手伝うようになって見えてきたものです。農業は子どもの頃に親戚の田んぼの手伝い程度しかやったことがなかったのですが、最近は今まで見えていなかったものが見えるようなった感覚があります。体はしんどいですが、楽しいですね。一緒に農業する中で雪の日舎のきっかけみたいなものは共有できるようになって、彼女の言っていることが理解できるようになりました。そのおかげで地域の人と共通の話題ができたり、今までより季節に敏感になったり、自然豊かな十日町にいながら季節を密接に感じることは少なかったので。季節が細分化されて「春だね~」という話だけではなく、「田植えの季節だね~」もしくは、「(籾の)目だしの季節だね~」から話が始まる・・・それは雪の日舎で感じてもらいたいことにもつながっていくのだと思います。

さらに娘が生まれてからは、子ども中心の生活になりました。子育てには楽しさと大変さの両面があると思いますが、世の中には大変な思いで育てているお母さんたちがたくさんいるのだろうなということも想像できるようになりました。うちのようにジジババがいても、これだけ生活がガラッと変わるのだから、それを一人でやっているお母さんたちはもっと大変だろうなと思います。

 

建築士として、男性メンバーとして、雪の日舎で実現したいこと

宿に訪れたママに寄り添うような空間作りを提案していきたいです。いいホテルに子ども連れで泊まりに行くとなったら、壁に落書きしないだろうか、床に物を落としてへこませないだろうか、「こうあらねば」という正解みたいなものからくる不安を少しでも解消できるような、寄り添える空間を作りたいです。

また、「女性が元気だと地域も子どもも元気」と妻がよく言っているのですが、思いのある女性たちと仕事ができるのは単純にうれしいし、しっかりしたフォロー役ができればと思っています。それは体力的にも、男性目線やパパ目線としての視点的にも、サポートできているようにしなければというプレッシャーとともに、楽しみでもあります。