雪の日舎
はじめまして、雪の日舎です。

第5話 「自然に寄り添うひとから学び続けて」保育士・諸岡江美子編〜はぐくみストーリー〜

2017.09.29

ここでは、メンバーたちが、今にいたるまでにはぐくんできた各々のストーリーを、ご紹介いたします。3人目は諸岡江美子です。

 

はじめまして、諸岡江美子です

私は千葉県船橋市出身で、現在は新潟県津南町に住んでいる29歳です。

私が生まれ育った千葉県船橋市という場所は、

東京にも近くて便利な上に、漁師町なので地域の伝統行事も残っており、

よく言う都会の近所付き合いの希薄さなどもなく、とても住みやすい地域でした。

そんな何不自由ない暮らしをしていた私が、いまなぜ豪雪地に住んでいるのか?

そしてなぜ雪の日舎で働くことになったのか?

自己紹介を兼ねてお話したいと思います。

 

人から学び、自然から学んだ保育士時代

私は新潟に来る前は、都内で保育士として5年働いていました。

保育の仕事は体力も精神力も使う仕事でしたが、

とてもやりがいがあり心から好きな仕事でした。

0~6歳まで、子どもたちがまわりの人や環境と関わり合いながら育っていく過程は、

とても面白く、私に人と関わる喜びや、うまくいかないことも素直に思いを伝えていけ

ば、いつか相手に伝わり信頼関係を結べるという自信を与えてくれました。

しかし、それと同時に

毎日スケジュールに追われる保育に違和感を感じ始めてもいました。

その頃は、保育園でも○○教室、行事、小学校への準備・・・と

毎日なにかしら大人から一方的に与えられるプログラムが入っており、

子どもたちが自分で考えて遊び、没頭する時間がなかなか取れませんでした。

そのような環境の中で、子どもたちの発散されないパワーは行き所がなくなり、結果として

室内でのトラブルにつながることもありました。

そんなもどかしさの中で、ある日ひとりの子どもが

保育園のテラスに置いてあったプランターの土をひっくり返している現場に遭遇しました。

その姿を見て「あぁまた注意しなきゃ・・・」とため息をつきそうになったのですが、

その子の姿をじっと見ているとあることに気付いたのです。

それは

「いたずらをしているのではなく、遊んでいるのだ」

ということでした。

プランターの土に触れるその子の表情はとても生き生きとしていて、

たったこれだけの小さな自然の中で、こんなにも没頭して遊ぶことができるのだ

と衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。

それからはもっと自然に触れた保育がしたいと思うようになり、

そのために学ぼうとアウトドアの専門学校に入りました。

 

ひとりの人として豊かな人間になりたい

その専門学校というのが新潟県妙高市にあり、

私と新潟との出会いになりました。

専門学校では、森のようちえん(自然体験活動を基軸にした保育)での実習やフィールドワークを中心に、

農業、野外活動、環境保全などを学びました。

しかし、授業よりなにより、

地域で出会ったおじいちゃんおばあちゃんのかっこよさに魅了されてしまいます。

自ら食べるものを作り出し

必要な道具も作る、

厳しい豪雪地に暮らしながらもやわらかいものごし

そんな彼らと過ごす時間がとても心地よかったのです。

その心地よさがなんなのか

どこから来るものなのか知りたい!

里山で暮らす人びとの生き方をもっと近くで見たい!

そう思うようになっていました。

なにより、彼らのような豊かな人間になりたかったのです。

このときには、保育士に戻る選択肢もあったのですが、

子どもと関わる大人としても、自分自身がもっと豊かな人間性を持っていたい

という気持ちの方が強く、保育の道は選びませんでした。

 

雪国で見つけたしなやかな生き方を、未来につなぎたい

その後はタイミングよく、津南町の地域おこし協力隊の募集を知り応募、

採用していただき現在に至っています。

津南町に来てからは、地域に住むことでこの地の暮らしを肌で感じ、教えてもらい、

手探りながら自分の暮らしに取り入れてきました。

農ある暮らし

冬を乗り切る保存の知恵

あるものを最大限に生かして暮らしをよりよくする工夫

地域全体がサードプレイスのような心地よいコミュニティ

私が魅力を感じるそれらは、

豪雪という人間の力では抗うことのできない環境の中で育まれた、

しなやかな生き方でした。

そして、そのしなやかさは、

これからの変化の激しい時代を

「こうあらねば」ではなく「自分らしく」生きていくためのヒントになる、

という確信がありました。

この頃には保育士に戻る選択肢は全くなくなっていました。

それよりも地域の中で子どもが育つこと、

里山の暮らしの中に子どもとの時間があることを、大事にしたいと思っていたことと、

自分自身が結婚したことを機に、

「里山で自分らしく、子どもと暮らし働くこと」

を模索し始めていました。

そんなときに出会ったのが雪の日舎でした。

保育士時代から感じていた

都会で生きる子どもやママたちの息苦しさを解決し、

大好きなこの里山を未来へつないでいく。

そのために、あえて保育の道に戻らず、

里山で暮らすことに向き合いたい私だからこそできることを、

雪の日舎を通して表現していきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

諸岡 江美子

諸岡 江美子

雪の日舎webディレクター/保育アドバイザー。1987年、千葉県船橋市生まれ。東京都内の認可保育園にて5年間勤務、その後新潟県妙高市にある国際自然環境アウトドア専門学校、自然保育専攻に社会人入学。津南町地域おこし協力隊を経て、現在はClassic Labとして独立。雪国の「あるもの、生かす」という生き方を研究している。編集者、エッセイスト。